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くつくつ喉を震わせて笑ったロビンが踵を返す。裏口から逃げると思ったコウキを裏切り、彼はサイレンが近付くドアへ向かった。両手で開け放ち、パトカーのヘッドライトに照らされて振り返る。
逆光で表情は見えないが、ロビンが笑っているとコウキは確信していた。
警察のサイレンに、神父が悲鳴を上げて十字架を握り締める。彼が問われる罪は――傷害罪、しかし正当防衛が認められる筈だった。
否、それ以前に『公的には死人』のロビンを傷つけても、司法当局が法的な責任を問うことはしない。
だが、聖職者としては『失格』の烙印を押されるだろう。
この現実すら、ロビンにとって遊びの域を出ないというのに……。
「またすぐに逢えるさ」
響いたロビンの声は――悪魔の誘惑に相応しい艶と闇を秘めていた。
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