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以前に彼が口にした言葉をそっくり繰り返す。腰まで届くブラウンの三つ編みも、人を食った笑みも、珍しい青紫の瞳も……何もかも同じだった。
違うとすれば、コウキとロビンの間を隔てていた無粋な鉄格子がない事くらいだろう。
振り返らず、ミラー越しに対峙するコウキへタオルを差し出したロビンが身を乗り出した。
「……さて、『続き』を始めようか?」
その一言で……何かが壊れ、何かが生まれる。
殺戮者として世間を賑わせた連続殺人犯は、ひどく楽しそうな表情で口角を持ち上げた。
渡されたタオルで素直に髪を拭う。濡れた頬や首筋、肩も拭いてからタオルをさりげなくファイルの上に放り投げた。
白いタオルに覆われたファイルには興味なさそうに、ロビンは三つ編みの穂先を弄っている。
「……俺には監視がついている。FBIが動くぞ」
脅しではなかった。
3ヶ月前に予告通りロビンが特別房から姿を消した際、逃がす手引きをしたのではないかと疑われたコウキは取調べを受けていた。もちろん、予告を聞いた以外の関係がないコウキはすぐに開放されたが、代わりに監視が付けられている。
今までにないロビンの執着振りから「会いに戻る」と踏んだFBIの予想は当たっていた。ならば、彼を捕らえる為の網を張っているFBIが動くのは確実だ。
忠告めいた一言に、彼はくつくつと意味深に笑った。
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