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両親に愛された記憶、そして……血に塗れた彼らの姿。
一瞬のフラッシュバックに目を伏せた。最近はなかったのに、ロビンと共にあることで精神的に不安定なのだろうか。
そこでコウキはようやく気づく。
入り口まで来ているロビンが、何も言わずに足を止めている事実――。
「……ロビン?」
「後悔しないか?」
潮騒の音が妙に大きく聞こえた。
満ちていく潮が、ゆっくりと波で砂浜を侵食する音だ。
まるで己の心に染みてくるロビンの毒のように……お前の思い出にオレを招いて後悔しないのかと問う声に似ていた。
ごくりと喉を鳴らし、コウキは覚悟を決めて頷く。
「構わない、連れて来たのは俺だ」
コツンと靴音が室内に響き、長身の青年はゆっくり足を進めた。
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