04.禁断の果実

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04.禁断の果実

 本職ではないが、医学の心得はある。 「傷は? ……ッ!」  思っていたより深い傷に、コウキの眉が寄せられた。  痛みを想像したのか、蒼目が僅かに逸らされる。  無言で右足の膝下に残る傷を晒したロビンは、ひょいっと手を伸ばして救急箱から消毒液を取り出した。 「見た目ほど酷くないさ」  けろっと言い放つと、無造作に消毒液を振り掛けた。下に零れる赤い透き通った液体は、血が混じった消毒液だ。それを無言で見つめるコウキを他所に、勝手に物色した救急箱からガーゼを取り出した。  軟膏を塗って貼り付けるロビンの足に刻まれた傷は、銃創だ。  殺されたFBI捜査官の最期の抵抗は、しかしロビンにとって蚊に刺された程度の意識しかない。確かに傷口は派手で血が流れ、痛みはあるが……ただそれだけのことだった。  首を切り裂いた男の無念の死を思いやる気持ちなど、最初から持ち合わせていない。  包帯を巻こうとしたロビンの手から包帯を取り上げ、コウキは僅かにぎこちない動きで巻き始めた。膝の下に巻かれた白い包帯を固定し、解けないようテープで止める。 「サンキュ」     
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