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「あ、あの……」 「可愛い物、好きでしょう?」 「あ、そ、その、」  俺が冷や汗をかきながら目を彷徨わせていると、ミツキさんは、俺の太腿をちょっとつねって来た。あ、地味に痛い。 「好き、でしょう?」  両頬を両手で掴まれ、しっかり目を覗き込まれて、俺は、知らず頷いていたらしい。ふわり、と花が咲くようにミツキさんが笑顔を見せてくれたから、胸が熱くなる。 「素直な子は、大好きだよ」 「は、はいっ!」  俺は、好き、と言われて、真っ赤になった。  ミツキさんは、いつも、惜しみ無く言葉をくれるけど、その度に、俺は、狼狽えてしまう。余りにも慣れない言葉、と言うのもあるけど、それが他でも無い、ミツキさんの口からもたらされる、と言う事が、信じ難くて、嬉し過ぎて、でも、照れ臭くて。  だから、いつもは言えないのだけど。お返ししなくては、と思って、俺は、精一杯、頑張って口を開いた。 「お、おお、俺も、ミツキさんが、す、す、好き……」  です、は口の中に消えた。ああ、恥ずかしい!! 穴が有ったら入りたい!! むしろ、穴を掘って埋まりたい!!  すると、ミツキさんが両手で顔を覆ってソファーに寄り掛かってしまって、俺は、狼狽えた。ぷるぷる、と震えてすらいて、俺の最大限の告白は、そんなに可笑しかっただろうか、と不安になる。それとも、気持ち悪かったのだろうか? 「み、ミツキさん?」  名前を呼ぶと、ちらり、と顔を見せてくれる。その顔は、真っ赤で。え、と思う。何が何だか分からないが、つられて俺まで赤くなってしまう。 「もう! 可愛過ぎ! 反則だよ!」  ミツキさんは、事あるごとに俺を、可愛い、と言うけど、それはむしろ、ミツキさんの事だと思う。だって、頬を赤く染めて上目遣いで俺を見るミツキさんは、筆舌に尽くし難い程、可憐で可愛かったのだから。
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