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「ナオは、僕を、貶めたいの?」  思わず素で尋ねていた。目を見張ったナオは、直ぐには僕の言葉が理解出来なかったようだった。 「ナオは、よく自分を卑下するけど、それって、こんなに、ナオを慈しんでて、好きで、大事に、大切に思っている僕の事も、貶しているって、分かっている?」  噛み砕いて言うと、ナオは、漸く自分の発言の裏の意味を理解したようで、真っ青になった。あ、あ、と意味の無い声を出す。その唇に、そっと、唇を寄せる。想いをも乗せて。ただ触れるだけの優しいキスは、ちょっと間抜けだけれど、秋刀魚の味がした。 「僕の気持ち、分かった? 伝わった?」 「……はい。すみません」 「謝るんじゃなくて?」  いつものように促して遣る。今度は、頬を赤く染めたナオは、ぽつり、呟いた。 「俺も、ミツキさんが、好きです」 「うん、よろしい。じゃ、一緒に住むよね?」  にっこり笑ってみせると、ナオは途端に眉間に皺を寄せた。ああ、こう言う困り顔も可愛いなあ。
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