いつの間にかに

4/6
前へ
/237ページ
次へ
「明日死ぬ。あと3時間後に死ぬ。そう思うだけで、死にたいのに死にたくないという気持ちになるんです」 「理解していますよ。でも、お任せしていただけたらその恐怖はなく、あの世に逝けます」 「本当ですか?」 「嘘は申しません。だから、毎日のようにここにやって来る方がいるんです。あなたのように」 「この恐怖から逃れられたら」 「ちなみにあなたの後にもお客様がいらっしゃる予定です」 「死にたい人が多いんですね」 「みなさん、絶望されてますから。でも、死んだらそんなことも考えなくて済みます。悩みや不安、後悔やコンプレックスといったものからも、すべて解放されます。もちろん死ぬ恐怖もありません。死んでるんですから」
/237ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加