置き去り

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「もう死んでもいいくらいの気分だ」 親友が久しぶりに表情を緩めた。 「最高だ」 「しかし、ちょっと天気が怪しくなってきたな」 「厚い雲が広がり始めている。喜ぶのはまた下山してからにしよう」 俺たちはすぐに山を下り始めた。 すると間もなく雪がちらつき始め、風も出て来た。 午前中まではあんなに機嫌が良かった空が、急にへそを曲げているようだった。 やはり簡単には終わらせてくれない。 この山は。 俺が先に進み、後方から親友が着いて来ていた。 足を踏み外さないよう一歩一歩確実に。 ペースも乱さないように気を付けながら進んだ。 ふと、振り返ると親友が離れている。 どうも様子がおかしい。
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