裏切りの仕返し

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その瞬間、何か変な空気を感じた。 男は咄嗟に手を伸ばし、スイッチを押した。 照明がリビングに行き渡った。 「わっ」 男は思わず声を上げた。 女が首を吊っている。 その目は見開いたままで生気を失っていた。 今日、朝に会った時の姿からは想像出来なかった。 「どうして?」 明日、結婚するのに。 幸せなはずだろうに。 男は女の顔を再び見た。 見ているうちに、ある考えが頭に浮かんだ。 「そういうことか。この俺に後悔をさせようとして」 男は納得した。 いつかはこんな日が来るとは思っていたからだった。 しかし、この日を選ぶとは。 恐れ入った。 一生記憶に残すために選んだのだろう。
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