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男の子はここで夜まで過ごす。 お父さんもお母さんも共働きで、帰って来るのが遅いからだった。 息子に頼まれておばあちゃんは面倒を見ていたが、それが楽しみだった。 たった一人のかわいい孫。 いてくれるだけで幸せな気分になる。 家のチャイムが鳴るのが毎日待ち遠しい。 少し遅いと何かあったのかと心配になって、近所まで見に行くこともあった。 仮に見つけても、声は掛けず家に戻って、孫が来るのを待っていた。 こんなことを勝手に一人でやることが楽しくて仕方なかった。 「今日のおやつはケーキだよ」 「・・・」 「おいしかったかい?」 「・・・」 「ジュース、おかわりするかい?」 「・・・」
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