ありがとう

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全部に「ありがとう」の気持ちがあった。 でも、言えない。 言おうと思っても、言葉が出ない。 はずかしくて、言葉が出ない。 おばあちゃんもそんなことはお見通しだったから、無理に喋らせようとは思ってなかった。 学校の帰り。 いつもの道を歩きながら、男の子は思った。 今日は「ありがとう」と言おうと。 口の中で、それをつぶやいた。 おばあちゃんの笑顔が浮かんだ。 それで少しだけ勇気が湧いた。 家に着いた時、胸がドキドキした。 チャイムを鳴らした。 「おかえり」 「・・・」 おばあちゃんの声に、男の子は返事が出来なかった。 いつものようにお菓子を出してもらい、夜までお母さんを待った。
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