ありがとう

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何度かチャンスはあったけど、男の子は何も言えてなかった。 でも、「ばいばい」と帰る時に言うつもりだった。 そろそろお母さんが帰って来る時間になった。 そういえば、おばあちゃんがいない。 男の子は部屋を探して回った。 すると、おばあちゃんは布団で横になって目をつむっていた。 昼寝でもしているのかな。 珍しいな。 夕陽が差し込む部屋で、男の子は肩を揺すった。 「おばあちゃん」と小さく声を出しながら。 でも、おばあちゃんは目を開けなかった。
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