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可愛い我が娘が膝にもたれかかり泣いている。
恵美子は娘の頭を優しく撫でながら言った。
「ダメじゃないの、綾香。ママに黙って勝手な事をするから……」
「だって、ママのやり方では遅過ぎるの! 貴臣をこれ以上あの女に触らせるもんですか! って思ったの!」
顔を上げた綾香は、浴びせられた屈辱に我慢ならなかった、と顔を真っ赤にして力説した。
恵美子は溜息を吐いた。
「あんな娘、ママが必ずあの家から追い出してやる、って言ってるでしょう。
今くらい好きに泳がせておいたっていいのよ。
貴臣はどうせ他に何人も女がいるんだから、あの娘のことなんて長い目で見れば蚊に刺されたようなものよ」
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