263人が本棚に入れています
本棚に追加
浴場を一杯にするシャワーの水流音に美夕の悲痛な声が混ざり合う。
「全部流すの、全部、全部!」
シャワーの蛇口を最大まで捻りながら泣き叫ぶ美夕を、楊は抱きしめた。
壁の高い位置から落とされる温水と立ち上る湯気の中で楊は、美夕を抱き、髪の毛を梳き、もう一度強く抱き締めた。
「大丈夫だよ、美夕。大丈夫」
愛しげに抱く腕の中で、美夕が震え、泣いていた。
白い肌に、乱暴に蹂躙された跡が残る。
楊は唇を噛み締め、怒りを抑え込んだ。
最初のコメントを投稿しよう!