本物の愉悦

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 初めて、本当の意味で触れ合えた。 「美夕」  顔を上げると、真っ直ぐに向けられた楊の瞳があった。 幼い頃ずっと守ってくれていた柔らかな色の瞳が、戻ってきた。 「わたし、気付いた」  髪の毛を梳く手が、優しい。 痺れそうになりながら美夕は静かに言う。 「小さい頃から楊君が好きだったんだって」  フワッと笑った楊は頷く。
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