最終章 再び付き纏う祟り神

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 少年は地団駄を踏んだ。涙が再び溢れている。この子もまた、人の中で生きることに苦しんでいるのだろうか。涙を流してしゃがみこむその姿は、心愛を思い出させた。人の輪の中でしか生きていけない弱い存在。そこから排除されかかっている存在。  祟り神は自身の体を具現化した。少年に声をかける。 「お前はこの石の由来を知っているか?」  その石はお前と同じような存在のためにあるものだ。それをお前が蹴ってはいけない。 「人々の無念の声がわからないのか?」  傍にいよう。自分には何もできないだろうが。小さい者、弱い者のために。疫病患者や心愛の顔を思い出す。目の前の少年の顔が重なる。そして、悲劇が起きる前に止めてみせる。今度は決して死なせはしない。  とんだ祟り神だなと自分でも思う。人を愛し、導くような存在ではないのだが。せめて形だけでも祟り神っぽくさせてもらおう。 「ならば、お前に憑りついてやる。」  どこにいるのかもわからない柚月に向かって言ってやりたい。  今度は、邪魔してやるからな。
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