1 付き纏う祟り神

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 夕暮れの繁華街の中を歩く黒髪の少女の後を、男が追う。少女年齢は十代半ば、男は三十代前後くらいだろうか。少女の後を付きまとう怪しいストーカー男に見える、一歩間違えれば警察に通報されかねない光景である。事実、通りすがりの人間の中には訝し気な表情で二人を窺う人もいる。しかし、黒髪の少女は彼らの目線など意にも留めない風に歩み続けている。その堂々とした姿は到底、付き纏いにとまどう人間のものではない。対して、後を追う男は焦った風に置いていかれないように少女を追う。  少女は小柄で華奢な体格である。黒髪に黒縁眼鏡に学校の制服らしきブレザー姿という地味な出で立ちである。顔立ちは均整がとれているものの、堀の深い顔ではないので印象の薄さは否めない。真面目な女子高生といった雰囲気である。 後を追う男は、身長は成人男性の平均ほどであるが細身な体格である。しかし、病的な細さではなく筋肉質で引き締まった体つきである。淡い茶髪に色黒の肌が相まって軽薄な雰囲気を醸し出している。  真面目な少女と軽薄な男の組み合わせは余計人目を引く。さらに前述の少女の堂々たる雰囲気が一層、この二人を異様な組み合わせにしていた。
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