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こんな廃校に一体誰だろうか?
と、なんとなく視線を向けて息を飲んだ。
やってきたのは同年代くらいの女性だった。
あの頃とは見た目も雰囲気も違っている。それでも見間違えるはずもない。
「…………」
「…………」
あちらもこちらの気づいたのだろう。
お互いに目を逸らし、なんともいえぬ居心地の悪さを感じる。
さっさと帰ろうと、無言のまま歩き出すが、再びふとした疑問が頭をよぎり、足を止める。
――なぜ、彼女もこんなところを訪れたのだろうか? と。
はっ、として振り返った。
彼女もまったく同じタイミングで振り返る。
それだけで十分だった。
お互いにバカバカしくって呆れてしまう。
視点が変われば世界も変わる。
以前のこの場所はもう壊れてしまって、もう2度と戻らない。
なら、もう1度世界を廻そう。
そうだな。差し当たって、まずは友達から。
きっと、親友になれると思うんだ。
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