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「……え? えええっ!?」
ユーリスと目が合った瞬間、彼女は一気に覚醒したようで飛び上がるように起きる。その拍子に掛布がずれて、彼女の白い素肌があらわになった。
「ユーリス!? なんでここに!? ていうか……これは一体……」
彼女の方は、ユーリス以上に恐慌状態だ。目を白黒させて自分の状態を確認し、今度は顔を真っ赤にして掛布を首元まであげている。そうしてその大きな目は信じられないくらいに見開かれていて、ユーリスに向けられていた。
「……おはよう」
できるだけ優しい声になるよう心がけながら、ユーリスは彼女に声をかけた。もしかしたら彼女もユーリスと同じく、何かに巻き込まれてこの部屋で寝かされていたのかもしれない。
寝顔で予想をつけていた通り、彼女はとても美人だった。
大きな目に長い睫毛は、まるで貴族が愛でる人形のよう。ふっくらとした唇は桃色に色づき、起き抜けなのに妙な艶感があった。
「あの、これってどういうこと……? ここどこ? なんで?」
「……もしかして君も覚えてないの?」
お互い困惑している。
やはり彼女も被害者なのかもしれない。
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