3、シセ

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 身じろぎしたリデルに、ユーリスは一度微笑みかける。  大丈夫、と唇だけを動かすと、ユーリスはその腕を離し、リデルを自分の背に隠すようにして一歩前に出た。 「……驚いたよ。こんなに禍々しい魔力を、よく今まで隠せていたな」 「秘密主義ってよく言われるよ」  シセからたちのぼる魔力は、彼自身がまとっているマントのような深く暗い色をしていた。けぶる炎のようにそれはゆらめき、少しずつこの森の空気を侵食していくような錯覚に陥る。 「それで、ユーリス」  シセは微笑みを崩さぬまま、一歩ユーリスに近づいた。その距離はあと五歩くらいといったところ。 「昨日のことは覚えてる?」 「……いや何も」 「そっか。……でも、もう君は立派な大罪人に仕立てられてるよ」  びくり、とユーリスの肩が大きく震えた。  同じように、リデルの背筋にも冷たいものが走った。そっとユーリスの背から顔を出して様子を伺うと、シセは穏やかな表情のままユーリスを見つめている。けれどユーリスが無言なのを見て、彼はさらに続ける。 「大人ってほんとひどいよね。君に全てを押し付けちゃってさ」 「え、ど、どういうこと!?」     
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