1、兄の告白

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 とりわけリデルは、ほぼ毎日この森の中で魔石を作っている。今日の風の魔石だって、ここでひたすら風の精霊たちと錬成したものだ。もはやここは慣れ親しんだ庭のようなものだった。  精霊たちも侵入者がリデルとユーリスであることに気づいたのか、警戒をとくかのように森は静かになった。 「もうすぐ日も暮れるし、あんまり奥は嫌だよ?」    ずんずんと先を行くユーリスに声をかけながら、リデルも小走りで追いかけて行く。  その彼女のすぐそばで『あれ? またきたの?』と甲高いささやき声がした。ひゅっと優しい風が、リデルの切りそろえられた黒髪をなびかせる。  その声はさっき魔石を作る時に手伝ってもらった風の精霊だ。  再びリデルが森に入ってきたから、不思議に思ったのだろう。   「お兄ちゃんが急にここに連れてきてさ……」 『ふうん……いつになくユーリスの魔力が乱れてるね』 「やっぱりそう思う?」  風の精霊は答えの代わりにひゅっと強めの追い風となって、リデルの背を押した。  そしてそのまま気配が消えたから、一陣の風のまま立ち去ってしまったのだろう。風の精霊は気まぐれだ。  それを待っていたのか、それとも偶然か。ユーリスは足を止めた。 「このあたりでいいかな」  言いながら大木に背を預け腕組みをしながら、リデルの方を見た。 「ちょっと困ったことになった」     
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