2、回想 ※ユーリス視点

1/8
163人が本棚に入れています
本棚に追加
/184ページ

2、回想 ※ユーリス視点

 ユーリスが目覚めた時、あたりはまだ薄暗かった。  彼が日があけきらない頃に目覚めることは珍しくて、もう少し寝ようと目を閉じる。そうして寝返りを打とうとして……かたわらにある柔らかいものに手が触れた。 「ん?」  彩度が低い視界の中でぼんやりと浮かぶ輪郭は、まるで知らない人間のもの。  ただ、豊かに流れている髪のつややかさと、丸みをおびた体のラインが、それが女性であることを示している。伏せられたまつげはとても長く、唇はぷっくりと弾力がありそうで、そして何よりもユーリスを驚かせたのは、その彼女が透き通るほどに薄い肌着姿だったことだった。 「……え?」  何度瞬きをしても、その女性の姿が視界いっぱいにある。ためしに触れた肩の温かさから、夢でも現実でもないことも分かってしまった。 「……誰?」  彼女が眠っているのをいいことに、つぶさに寝顔を観察してみるも、ユーリスの記憶にはない女性だった。もう少し明るくなればまた違うのかもしれないが、望みは薄い。  掛布が彼女の上からずり落ちないように細心の注意を払いながら、ユーリスは体を起こした。  薄々と気づいていたが、自分も下穿きしかはいていない。     
/184ページ

最初のコメントを投稿しよう!