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2、回想 ※ユーリス視点
ユーリスが目覚めた時、あたりはまだ薄暗かった。
彼が日があけきらない頃に目覚めることは珍しくて、もう少し寝ようと目を閉じる。そうして寝返りを打とうとして……かたわらにある柔らかいものに手が触れた。
「ん?」
彩度が低い視界の中でぼんやりと浮かぶ輪郭は、まるで知らない人間のもの。
ただ、豊かに流れている髪のつややかさと、丸みをおびた体のラインが、それが女性であることを示している。伏せられたまつげはとても長く、唇はぷっくりと弾力がありそうで、そして何よりもユーリスを驚かせたのは、その彼女が透き通るほどに薄い肌着姿だったことだった。
「……え?」
何度瞬きをしても、その女性の姿が視界いっぱいにある。ためしに触れた肩の温かさから、夢でも現実でもないことも分かってしまった。
「……誰?」
彼女が眠っているのをいいことに、つぶさに寝顔を観察してみるも、ユーリスの記憶にはない女性だった。もう少し明るくなればまた違うのかもしれないが、望みは薄い。
掛布が彼女の上からずり落ちないように細心の注意を払いながら、ユーリスは体を起こした。
薄々と気づいていたが、自分も下穿きしかはいていない。
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