第3章 目覚め

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両親と弟の顔が浮かんだ。 …もう会う事は許されないのだな… 涙が湧いて来た。 その時 「セレ?あなたはセレシュヤーデでしょ?」 背後から女性の声がした。 振り向くと、長い黒髪に黒くて大きな瞳の可愛らしい少女がいた。 一粒だけ涙が溢れたのを見られてしまった。 少女は驚いて 「どうしたの?悲しいの?」 と訊いてきた。 セレは慌てて涙を指で拭き 「いや、何でもない。」 と答えた。そして 「どうして俺の名を知っている?君は?」 と訊いた。 もう涙は引いていた。自分を『俺』と言った事に驚いた。 「私はピアリ。ヴァシュローク様から聞いていたの。私の父はヴァシュローク様の弟子だったのよ。」 「ヴァッシュ様の弟子?では魔法使いなのか?それにここは何処なんだ?」 自分を知っている人間がいる事に少し安心した。 続け様に質問してしまったが、ピアリは嫌な顔をせずに答えてくれた。 「父は…魔法医と言った方がいいわね。詳しい事は父から話してもらうわ。ヴァシュローク様から頼まれている事もあるし…とにかく家に来て。」 ピアリの手招きにセレはついて行った。
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