第1章 風の中

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オーリは、時代に合わぬ古いしきたりなどの改革を進めていた。 …王や六大臣に目通りを請う時の貢ぎ物の廃止。 …一部の者に独占されていた農作物の栽培を広く一般にも許可。 …主な水源、水路はその土地の所有者の有無に関わらず国の支配下に置く。 などなど… それに不満を持つ者達が、国内のあちこちで反対運動を起こしていた。その説得や鎮圧にオーリ自身が動かねばならぬ事も多かった。 また、大雨などの自然災害も頻発した。元々、魔法で自然災害から国を護る事はランディール一族の重要な役割だ。強力な魔法使い達と共に、各地に出向いた。 それでも、ヴァシュロークからすれば『オーリがその気にさえなれば、セレに会う時間位作れる筈だ』と思えた。 特に、セレが心臓の発作を起こした時などは 「僅かな時間でいいのだ。顔を見に行ってやれ。」 と、怒った。 しかし、オーリは国王としての仕事を優先した。 ヴァシュロークとオーリの間には溝が生まれつつあった。
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