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第3章 目覚め
セレにはその後を知る由はもちろん無い。
ヴァシュロークが駆けつけ、セレの臨終を告げた事。
セレの訃報を受けた両親と弟が悲痛な涙を流した事。
死者として一旦は埋葬された事。
自分の中に「フィズ」というとんでもない魔法石が宿され、7年間も仮死状態でいたことも…。
そして、今、目覚めた場所がどこであるかも分からなかった。
風を感じてゆっくりと目を開けると、まず青空が見えた。
…私は死んだのではなかったのか…
上半身を起こして周りを見ると、草原だった。いつも過ごしていた離宮のベッドではない。
…ここはどこだろう?…
もっと周囲を見渡そうと立ち上がった。遠くに見える山脈には見覚えがあった。
…アルタイルの山だ。ロストーク国内ではあるらしいが…
ふと自分の服装に気づいた。木綿でできた質素な上着にズボン姿。庶民の服だ。
「……!」
衝撃と共に寂しさが押し寄せた。
…もう王族ではないという事か…
離宮も出され、周りには誰もいない。
自分が王室の厄介な荷物だという事は分かっていた。いつかはこんな日が来るかもしれないとも思っていた。
…しかし、いきなり現実として身に降りかかるとは…
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