第一章・曖昧な職員たち

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コボルトの集団の中心に躍り出たフェン。 コボルトはフェンに早速気付き、すぐさま取り囲むようにしてそれぞれの武器を振りかざしてくる。 「甘い甘い、エスカちゃんの作った食後のデザートくらい甘いね! いくよ、『螺旋炎』!!」 フェンがシャムシールを両手で持つと、そのまま華麗に回転しながら周囲を薙ぎ払った。 それは低威力だが周囲の敵を吹き飛ばし間合いを取る技。コボルトが勢いよく蹴散らされ、倒せてはいないが大きく吹き飛ばされる。 その間にフェンがマグナの方へ逃げ出す。 「弱いのしかいないっぽい! やっちゃっていいよ!」 「よし、いけます……『グランドウェーブ』!」 詠唱の終わったマグナが、手を下からゆっくりと前へ上げると、地を這う衝撃波が発生する。それは扇型に広がっていく。 フェンはそれを分かっていて大回りに移動していたが、コボルトは後を追うように移動していたため纏めて衝撃波をまともに食らい、一気に全滅した。 「やったぁ!」 「やりましたね!」 フェンとマグナは喜んでぴょんぴょんと跳ねながらハイタッチする。 といっても、マグナがとても小さいため、ハイタッチと言いながらもフェンは手を低い位置にかざしているのだが……
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