第一章・曖昧な職員たち

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元々は危険の少ない場所であったため、帰り道は平和そのもの。 「最近採取課の有望な子がたくさんいるから。負けてられない……なんて、もう採取課じゃないのに張り合っちゃったりしてね」 フェンはそんなことをこぼす。 「たくさんいるんですか」 「そうだね。後輩ってことになるけど……ちょっと憧れてる子もいるかな」 「憧れてる子……」 「うん。最近はね、遠距離武器とか練習してみてるんだよねぇ」 フェンは人に憧れがちで、憧れの相手の真似をしたがる傾向にある。 結局は才能がないため満足に真似もできないのだが、結果として独自の剣技を身に付けたりなどはできているから、完全に無駄になっているわけではない。 「採取課で遠距離武器というと……メリシアさんやサラさんでしょうか」 マグナはとても記憶力が良いため、あまり話したことがなくとも特徴を覚えていた。 「おー、よくわかったねぇ。そそ。でも弓はともかく、ボウガンに魔力のせるっていうのが意外と難しくってさぁ」 「メリシアさんとかは頼めば教えてくれそうな気もします」 「ほんとー? 帰ったらメリシアちゃんにお願いしてみよっかなぁ。っていうかもう今日お願いする。後輩だとか恥とか関係ない、じゃんじゃん学んでいかないとね!」 「いいと思いますよ。ふふ」 こんな風に、マグナとフェンの帰り道は、大抵フェンが憧れの人トークをし、それをマグナが笑顔で聞く、というような流れが多かった。
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