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マグナがヒーリアと話している間。
「……で、どうだったんだい」
「なにがぁ?」
「マグナの様子さ。気になってたんだろ?」
「……んん……まぁ……そうねぇ」
カイトとフェンは、マグナに聞こえない程度に離れた場所でそんな話をしていた。
日が沈み、夜になったばかりほどの時間。夕飯時だからか、それともたまたまなのか。ここには人は四人以外にいなかった。
「一年前だったか。お前さんがクエスト中にあの子をカタコンベで見つけたのは」
「一年と少し前くらいかなぁ」
そう言いながら、二人はマグナの小さな横顔を眺める。
「記憶喪失……だが、忘れているのは自分の生まれのみで、名前や年齢、知識などは全て覚えたまま……」
どこか不自然だと、カイトは言いたいのだろう。
「でもさ、そのおかげで今は、自分で稼いで一人でも生きていけてるわけだから。別にいいんじゃないかなぁ」
「そういうもんかねぇ」
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