第二章・日常は喫茶店から

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「船、ですか……?」 マグナは船について詳しくなかったが、漂着するということは何かあったのだろうと考えた。 「カンパニーの職員が既に一度調べたけれど、特に何もなかったし、半壊していて動かせないから、処分も難しいと嘆いていたそうだ」 「半壊、となると……魔物の仕業でしょうか?」 「いや、風化だそうだ。形を保ったまま流れ着いたのが不思議なくらい朽ちていたんだそうだよ」 男性も不思議そうな表情で語り、マグナもまた首を傾げた。 「……へー、なるほどね。これは好奇心をくすぐられるね!」 フェンは瞳を輝かせる。 「そういえば、その船の処分のクエストがこの喫茶店にあったよ。カンパニーは船に関する対応は打ち切ったみたいで、こうしてこっちに回ってきたようだ」 喫茶店では、噂を聞くだけでなく、簡単なクエストを受注することもできる。カンパニー職員にとっては、とても便利な場所であった。 「ありがとうございます、助かりました」 「いやいや。役に立てたなら、私も嬉しいよ」 マグナとフェンは礼を言うと、頷きあい、そしてカウンターへ向かった。
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