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「穴が空いているところもあるので、気を付けてくださいね」
「おお……船に乗るのって、久しぶりだなー」
フェンは船の揺れを感じて、そう呟く。
「そういえば、フェンさんはハーフェン出身でしたね」
「そうそう! よく親の漁を手伝うために、ちょうどこんな船で海に出たなー!」
フェンは嬉しそうに笑顔で語ると、近くの壁をそっと撫でる。
ハーフェンとは、南洋に浮かぶ小さな島国のことである。温暖で漁業が盛んであり、ツェントルムとの貿易もよく行われている、比較的馴染みやすい国だった。
以前のソルトコボルトも、本来はハーフェンに生息している魔物である。
「どうしたんですか?」
「うーん、風化して崩れちゃったのかな……同じような船なら、ここに石のプレートがあるんだよ。誰々の船だーって」
フェンの撫でている場所には、石の欠片が壁にめり込むように刺さっていたが、そう言われると、欠けたプレートの一部に見えなくもなかった。
「なるほど。これはこの辺りにはない材質ですね。近くに欠片があるかもしれません。探してみます……」
マグナがフェンに代わり石を撫でながら静かに目をつぶる。すると、海の中や足元にあった近くの石が、ゆっくりと近くに集まってきた。
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