第二章・日常は喫茶店から

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「完全に油断してた……あたしのバカっ!」 職員が既に調査しているからと、二人は油断しきっていた。調査後からの僅かな期間で、魔物が新たに住み着く可能性はゼロではなかったのだ。 「すぐに回復を……『ホットファイ……っ!!」 即座に回復魔法を唱えようとしたが、長い詠唱を相手が待ってくれるはずもなく、鋭い攻撃がフェンを襲う。 辛うじてかわしたが、攻撃を外したと分かった途端に部屋の奥へ消えていったらしく、反撃どころか姿を見ることもできなかった。 「明かりをつけないと話にならない……!」 しかし、マグナがやられたときのように、ランタンを点ける隙すら危険かもしれない。 「なら、あたしにはこれがある! 『クリムブロウ』!」 フェンはゆらめく炎……不死鳥の炎を拳に纏わせる。しかし攻撃すると見せかけ、ランタンにその拳を軽く当てた。 「……よしっ!」 ようやく火を点けることに成功した。部屋が炎に照らされる。
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