第一章・曖昧な職員たち

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「さて、これで遅刻は今月二度目だな」 「遅刻はしてるけど、サボってはないよぅ……」 彼女にとって、遅刻はサボりには含まれない。到着した後はちゃんと仕事をしている、という言い分だ。 「遅刻してるんだから、誰かしらにゃ迷惑をかけてることになるんだ。きっちり謝っておきな。にしても……シャキッとしろよな、フェン。そんなんじゃリンクのことも笑えないけど、いいのかい」 「あたしあんなにさぼってなあい……遅刻するだけで、ちゃんと仕事はしてはいるし……」 寝ぼけ眼でうとうとしながら反論をする彼女の名は、フェン・ニグルという。 元採取課であったが、少し前にカイトと同じように総務課に異動になった人物。 採取課志望でカンパニーに入り、熱意を持って何度も活躍し、複数の採取課と同時に依頼に赴いた際はその積極性からリーダーシップも発揮していたことから、それらの能力や熱意を買われ総務課に異動になったのだが…… 「だいたい、総務課の仕事なんてやる気でないよー……採取課の仕事やらせてよー」 このように、総務課の仕事については全くやる気がないらしく、以前の面影は全くなかった。 「おいおい……」 「いつもと変わりませんね。えへへ」 マグナは、そんな彼女を見て嬉しそうに笑った。彼女にとってはこれはいつもの日常で、フェンの姿はいつもと変わらず微笑ましいものだったのだ。
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