第一章・曖昧な職員たち

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「っと。時間がないんじゃないかい」 「そうだねー……」 「フェンさん。今日の依頼は討伐でもありますけど、採取も依頼内容にありますよ」 「そうだった!!」 眠そうなフェンだったが、採取と聞いた途端はっとし、そのまま急いで家の中へ戻っていく。 今回の依頼の同行人はフェンであった。 「採取と聞いたらすぐに飛び出す。相変わらず欲望に素直だねぇ」 戻ってきたフェンは、寝癖も整え、ちゃんとしたカンパニーの制服に身を包んでいた。 そして、その背中には大きな曲剣、シャムシールを背負っていた。 「やる気のあるあたしは違うってとこ見せてやらなくちゃねー」 「頼りにしてますね、フェンさん」 「よし。んじゃ、俺は戻る。報告、楽しみに待ってるな」 「上手くいったら奢ってくれないー?」 「仕事じゃないのかい……ったく、仕方ねぇなぁ。近くの喫茶店なら連れてってやるよ」 カイトは手を振って去っていく。 「やりい! カイトさんはほんとおっかない割に優しいよねぇ。さて、頼りになる先輩が去ったところで、あたしたちも行こっかー」 「くす……はい、そうですね」 マグナはそんなちゃっかりしたフェンと優しいカイトの二人を見て、やはり楽しそうに笑うのだった。
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