それでも世界は答えない

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思わず泣いてしまった。 永遠なんてないこと 奇跡なんて起きないこと そんなことは知っていた それでも望んでしまった 時が巻き戻り 泰成が手術を受ける前に 俺が君を殺したい どうせ死ぬなら 俺の手で終わりにしてあげればよかった 「…うそつき…俺のそば…離れないって言ったのに…ばか…」 動かない 紫色の唇に 最後のキスをした 周りの目なんて 気にしてなかった 「はは…冷たい…」 なぜ泰成が死ななければいけないのか 叫んだって 喚いたって それでも世界は答えない もう此処に 泰成はいないのに それなのに 狂おしいほどに動いてる 俺の心臓が 生きている 君のいない この世界で
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