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白い。窓から射す日光はカーテンの隙間から強い光を自分にあてる。
今日は何曜日だったか。
目を擦りながらそんな事を思った。
ベットの真隣にある時計を見ながら
考える。8時。
朝か夜かはこの眩しい日光が
物語っている。
眠っている途中に蹴っ飛ばしていた
布団を更に足で奥に蹴っ飛ばす。
潰れた布団が何かに似ている。
何かは分からない。
5分考えて 考えるのをやめた。
ベットから降りて
飲みかけのペットボトルやら
アイドルの雑誌やらが
転がっている床に足をつける。
ごりっ。何かを踏んだが
気にせず窓に近づく。
外を覗いても家の近くにあるバス停に急ぐ
サラリーマンや中学生が
走っている。
いつも通り。
いつも通りだ。
でもおかしい。
おかしい。
おれは起きてる。
生きてる。
動いてる。
息をしてる。
昨日 今覗いてる窓から
飛び降りたはずなのに。
今走っているサラリーマン達の
悲鳴を聞いたはずなのに。
後ろを向いてついさっき踏んだものを見た。
ペットボトルだと思っていたものは
黒いボールだった。
ただのボール。
でも見て思った。
これはおれだ。
おれだからおれだとわかる。
普通だったら慌てるんだろうか。
慌てないのはおれがおかしいからだろうか。
こんな事を考えながら布団を見た。
潰れた布団は自分だったのだろうか。
拾った丸いボールもボコッと抉れている気がする。
こんな時に言っても信用
ないだろうが意外とおれは神経質なんだ。
1箇所だけ形が違うなんて
気になるに決まってる。
どうしたらもとに戻るか。
いや もう戻らない。
もっとひどくしたら違和感が
無いんじゃないかと思った。
痛いのは嫌だ。だから殴るのもだめ。
下には潰れたペットボトル等
硬いものはない。
そうだ。
落とせばいい。
そう思った。
カーテンと共に窓も開けた。
おれを落とした。
サラリーマンの悲鳴を聞いた。
起きたときは白かった視界は
今は赤で染まっている。
下に落としたボールは
歪だがしっくりくる。
次起きるのは何時なんだろう。
もうサラリーマンの声は聞きたくないな。
家で怒鳴るあの声も。
次は時間なんて概念の無い
人気者のパンダにでもなってやろう。
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