第6章 RING

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102 ケジメ…1  足下にあった鉢植えを蹴り上げる。  先頭を切って飛び出してきた浜岡の額に直撃した。ヤツが後ろに倒れたせいで五人の陣形がバラバラになる。  廉司はすかさず浜岡に押されて尻もちをついた坊主頭に消火器を振り下ろす。  気絶した二人の上で体を起こそうとした廉司の背中に若い男が掴みかかる。背後から首に回された腕を前で押さえつけ、勢いよく後ろ向きにダッシュした。  スピードについていけない男が足を縺れさせ、事務所の給湯スペースを隠していたアクリル製の衝立に背中から突っ込んだ。キッチンラックにもたれた衝立のパネルが男の重さに耐えかねて斜めに割れる。男は打ちどころが悪かったのか、パネルの切断面の上で体を反らせたまま動かなくなった。  残ったのは二人。金のスカジャンとストライプシャツ。少しは出来そうだ。  スカジャンが正面から突進してくる。スピードのある拳。ギリギリでダッキングし、腹に重いカウンターをお見舞いする。持っていた消火器はいつの間にか消えていたが、まぁいい。  体を曲げたスカジャンの吐瀉物を避ける。その背後で構えていたストライプの前まで一歩で踏み込み、男の丹田に前蹴りをめり込ませる。  壁まで後退し座り込んだのを見届けた時、復活したスカジャンが腕を振り回すのに気づいた。  振り向きざまに頬に一発食らう。口は切れたが大した重みはない。  スカジャンの肩を掴み、その布地をぐるりと巻き込んで殴ってきた右腕を封じる。そのまま顔に思い切り三度、拳を叩きこむ。相手はすでにフラフラしていたが、首を両手で押さえ、鳩尾に膝で仕上げておく。  その場にスカジャンを捨てたと思ったら、また背後から首を取られた。  起き上がっていたストライプだ。得意気に人の耳元で雄叫びを上げる。  廉司は舌打ちをし、そのままストライプを背負い込んで目の前にある応接セットのガラステーブルの上へ彼を投げ飛ばした。派手な音を立てて天板が砕け散る。歪にゆがんだフレームの中心でストライプは悶絶した。  難なく自分の元まで辿り着いた廉司に焦った辻は机の引き出しに手を伸ばした。  火薬のはじける音が空気を震わせる。  意識を取り戻し、立ち上がりかけていた男達と辻がフリーズする。  廉司が天井に向けていた銃口をゆっくりと辻に向けた。
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