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75 孤独な朝…1
甲に触れる冷たいシーツの感触にゆっくり目を開ける。
まだ覚醒し切らない頭で、そこに居るはずの存在を探す。しかし、彼女の温もりは無い。ゆるゆると頭を上げて部屋の中を見回しても、人影は見えない。
すべて夢だったのだろうか。
だが腰のだるさとベッドに散らかったコンドームが、そうではないと告げている。
廉司は再び枕に頭を横たえ、額に手を当てた。
「……」
まただ。また捕まえ損ねた。
初めての夜もそうだった。自分がしっかりしていれば閉じ込めておくことなど容易いはずなのに。
彼女と共に果て、意識を飛ばした小さな体を抱きしめたところから記憶がない。多忙な日々に加え、一花との交わりに夢中になって体力を根こそぎ使い切ってしまうせいか吸い込まれるように眠りに落ちていく。
そして一人で淋しく朝を迎える。
万全の体力で望めないのも悔やまれるが、一花の回復の早さが不思議でならない。
彼女には門限がある。
だが、そんなものに間に合わせるほど手加減をしてやったつもりはない。
そこら辺のホステスに与える何倍、いや何十倍もの快楽を刻みつけてやっているはずなのに。おかしい。
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