同じでいたい

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ーー好きとか、愛しているとか、恋愛感情を知りたいとは思わない真依でも、一つだけ残念に思うことがあった。 「母親―?」 凜が聞き返す。 「うん。母親にはなってみたかったな。」 子どもが好きだ。 「じゃあやっぱり適当な男と結」 「私にそれが出来ると思う?」 「そうよねー。出来たらとっくにやってるわね。」 「じゃあシングルになる!とか」 「そんな無責任なこと出来ません。子どもになんて説明するのよ」 あなたのお母さんは、恋愛感情を持てないけれど、子どもはほしかったのでやり逃げ同然にあなたをつくりました なんていえるわけない。 やむを得ない事情でシングルマザーになるならともかく、最初からそのつもりで子どもをつくるなんて、一人で子どもを育てている人たちにも失礼だ。 「そもそも、キスもセックスも出来ないのに。」 根本には、愛情を確かめ合うためのもので、 そうでない場合でも快楽を求めてするものだ、と真依は思っている。 このどちらも得られない真依にとって、これらの行為は苦痛・嫌悪の対象でしかない。 「じゃあ残るは養子縁組?」 「そうね。でも独身での縁組みにはいろいろ制限あるし、本当にやるとなったら腹をくくっ てするわ。」 「母親」の立場にこだわらなければ、子どもと関わる方法なんていくらでもある。 「あんたもねー。自分のことだけ考えられる性格だったらもっと人生楽だったのにね」 ままならないわね そんなやりとりをしたのは昨日だっただろうか。
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