私たちの関係は

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「それにしても、個展、良かったね。」 真依の罪悪感も薄れ、話題は自然と先程までの個展についてになる。 「画集、買えばよかったなー」 少し残念そうに白木が言うので、 「あ、私買ったわよ」と伝えると、 え、うそ!と目を輝かせたかと思うと、 「あの……それ、貸してもらえたり…します?」 急に下手になって言う。上目遣いのおまけ付きだ。 おもしろい。 「もちろん。」 真依は笑いをこらえながら返事をした。 「やった、ありがとう!」 手放しで喜ぶ白木。 本当に好きなんだなぁ、と自分のことは棚に上げて思った真依だった。 ーー白木くんは今日の個展、どうだったんだろう。 さっき「良かった」とは言っていたが、もう少し聞きたくなった。 「あのぅ、お願いついでにもうひとつ……」 白木が続けて言う。 「真依さんこの後時間ある?……良かったら感想とか詳しく」 白木も同じことを思っていたようだ。 今日はこのために1日空けていたので時間はある。 もう夕方だったので、夜ご飯を食べることにした。 「じゃあ、場所は……」 「うん、」 「「行きますか。」」 二人で顔を見合わせて、にやっと笑う。 行き先は、もちろんいつもの喫茶店だった。 このあと、 盛り上がりすぎた二人は、 佐野に追い出されるまで話し込んだのだった。
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