番外編 side白木

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   改札を入り、僕とは反対のホームへ降りていく彼女を見送ったあと、僕も自分の電車を待つためにホームへ階段を降りる。  ふぅー、と無意識のうちにため息がもれた。  多少の混乱が残る頭を整理しようと、ホームに設置されている自動販売機で缶コーヒーを買う。  椅子に腰掛け、コーヒーを飲みながら考える。  ふう、と今度は意識的に息を吐き出す。  彼女が誰に対しても恋愛感情を持たないようだということは、同期として過ごしてきた中でなんとなく感じていた。    彼女に「普通」に告白しては、「普通」に振られてしまうだろう。だから、彼女と「付き合う」ためには普通のアプローチではなく、彼女の理解の上を行く必要があった。  その目論見は成功し、僕と彼女は「付き合う」ことにはなった。  しかし、彼女が僕と「付き合う」ことに同意したのは、恋愛のいざこざ回避のためと、僕が他の人と何かが違うと思ったからだろう。それはつまり、僕が今までの男と同じだと見なされれば、すぐにこの関係は無かったことになるということだ。
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