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「ごめんなさい。今は誰とも付き合うつもりはないの。」
そう言って、真依は会社の同僚に頭を下げる。
普通になろうとすることを諦めたあの日から、
真依は、誰かと付き合うことをやめた。
周囲には「今は」恋愛はしない、と言っていた。出来ない、とは言えなかった。皆と同じようにはいられないとしても、「同じ」だと思われていたかったからだ。
それに、恋愛感情を向けられるのは困るが、嫌われたい訳ではなかった。むしろ、嫌われたくないのだ。
この、嫌われたくない、という思いは、真依の人当たり良い振る舞いに繋がっていた。そのせいで真依は 「いけるかも?」と思われやすかった。
『特別美人でなくても、それなりに顔が整っていて愛想のよい女』
どうも男性はそんな女が好きらしい、というのが真依がこの数年で学んだことだ。
それでも、
ーー最近は、上手く距離感保てていると思ったのになぁ
良い人だけど
という、付かず離れずの関係を築くことができるようになった、
と思っていた。
……思っていたのに、
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