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「油断したわねぇ」
会社の近くにあるが、利用する社員は少ない穴場の居酒屋で、真依の報告を聞きおわった凛が言った。
どうやら真依が告白されているようだ、
と察知した凛によって召集がかけられ、全て聞き出されたのだ。
凛の隣には、片山もいた。彼も真依と凛の同僚だった。
「真依は、誰にでも良い顔をしようとするんだから。」
凛とは大学時代からの腐れ縁で、真依に向ける言葉にも容赦がない。
良い顔、と言われても……と真依は思う。
「だって、嫌われたくないんだもの…」
「嫌われたくない、と、好かれたい、では取るべき行動は違うわよ?」
あんたの態度はどっちかと言うと好かれたいように見えるわ。
真依の主張は凛に一刀両断されてしまう。
「え、うそ、どのへんが?」
ーーこれでも、勘違いされないようにしているつもりなのに…
「どの辺もこの辺もないわ!全部よ全部!」
えぇー…
そんな全否定するほどだろうか。
真依は口には出さなかったが、よっぽど納得がいかない顔をしていたようだ。
凛は、ふぅーーとながい溜息をついて、
「じゃあ聞くけど、同僚の男から仕事終わりに食事に誘われました、どうする?」
明らかに下心ある感じでね。
と、聞いてきた。
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