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なんだそれ、と思いながら答える。
「……断ります」
「どういうふうに?」
そう尋ねる凛に、
顔の前で手を合わせて再現する。
「今日この後予定があって…ごめんなさい…また」
「ほらもう、そんな精一杯申し訳無さそうな顔で言われたら、本当に予定があると思っちゃうわよ!」
言い終わらないうちに凛が叫ぶ。
…なにそれ、
「だって、嘘だとバレたら嫌なやつと思われ」
「思われません」
またもや被せるように凛が言った。
「だいたいね、向こうは行けたらラッキーくらいの気持ちで言ってるのよ。断られて腹をたてるやつがいたら、そいつはよっぽどのナルシストよ」
「でも……」
「冷たくあしらえとは言わないけど、本当は行きたいんだけど…っていう雰囲気はやめなさい」
どうせあんたの場合、「また誘ってね にっこり」も続けて言うんでしょう?
「う……」ばれてる。
「言うけど」
「ほらー!そんなこと言われたらまた誘っちゃうわよ!」
ねー誘っちゃうわよねー片山くん?
いつもよりハイペースで飲んで、テンションがおかしくなっている凛に話を振られた片山は、苦笑いのままひたすらノーコメントを貫いている。
きっと心のなかでは、何で僕まで呼ばれたんだ、と思っているに違いない。
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