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あ然とするあたしに、生田くんはご神託を降ろすかのように言う。
「……華さん。もろもろ言いたい事はとりあえず封印します。とにかくキッチンカー開業するんなら、その一部始終を記録として残しましょう。必ず、金になります」
「……え?」
「華さんはグルメライターなんですよ。サイトでキッチンカー開業までの軌跡を連載するんです。リサーチから始めて、車の改造から商品開発、引いては開店まで。俺が企画を通して写真を撮ります。絶対に大人気企画になります。正直懐が寂しいんでしょう? でかい金額は動かせませんが、細々かかる経費は会社が持ちます。悪い話じゃないはずです」
「へえ……。いいアイデアですね。例えば今日これからの飲食も、取材費として経費で落ちるって事ですよね? で、開店の暁には既にファンがついてるって訳だ。いい話ですよ華さん。それならそのコンサル男も華さんを騙せない。すごいですねあなた。どちら様かは存じませんが、なかなか切れる頭をお持ちなんだわ」
犬の提案に愛佳ちゃんはあっさり賛同する。いえいえ切れるだなんてそんな、と笑う生田くんに、まあまあご謙遜、と愛想を振りまく愛佳ちゃん。
しまいにはふたりは自己紹介をして親睦を深め合っている。あははうふふと笑い合って、それじゃあ行きましょうかと同時にこちらを見て。
「行きますよ華さん。いつものフードファイトで全店舗制覇して下さい。俺撮りまくりますから。気合入れてね!」
「なんだかひとあんしーん! 生田さんがついててくれれば、華さんのすっとんきょうも大分マシになりそうですね! あーお腹空いた! 食べましょ華さん! 生田さん、あたしも一緒に可愛く撮って下さいねっ」
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