act.6 担げ!うどん姫。

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 ……だからあたしはもう何だかイマイチ分からなくなって。  広場に設置されたガーデンテーブルを陣取って、愛佳ちゃんが買ってきてくれるキッチンカーの色んなメニューを食べまくる。そんなあたしを生田くんが、やいやい言いながら撮りまくって。  ファーマーズマーケットに今日出店しているキッチンカーは14店舗。カレーも煮卵もポークリブもとても美味しい。甘いものもアルコールも。何もかもがあってあたしの胃袋は果てしなく満足する。  満足するけど、分からないのは目の前で繰り広げられる謎の光景。 「えっ! その編集長が? バツ2で他の女に声かけまくってるのに? 分かんないってアホなのかなー。でまた謎のコンサルタントに引っかかる辺りが痛々しいよね。愛佳ちゃんは正しいよ。アホの目は覚まさなきゃ!」 「でしょー? これが性格の悪い女なら影から笑って済むんだけど、なんせ香川のうどん姫なのよ! ガラスのハートで東京という魔都に挑むうどん姫! これが放っておける!? 生田くんなら解るでしょ!? 守るべき日本の伝統工芸品よ! だからあたし達は同盟を組みましょう! 守れうどん姫! キッチンカーが走り出すその日まで、あたし達は同盟を組んでうどん姫を担ぎ上げていくのよっ!」  ……なんであんた達が同盟を組むの。  ビール片手に秋空の下盛り上がるふたりを冷めた目で見つめながら、あたしはテーブルの上の生田くんの一眼レフからSDカードを取り出す。  それをポケットに収めると、「じゃ!」と一言だけ残して、休日の幸せなイベント会場からダッシュで……逃げ出す。
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