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「昂平、お前さー、比較文化学のやつとなんか揉めた?」
昂平は、同じ学部に通う剣道部の同期にそう聞かれて、は?と聞き返した。
「なんか、比文の先輩が、昂平の悪口言い回ってるって」
比較文化学。
全然身に覚えがないが、心当たりがあるとすれば。
そうか、アイツは比文の准教授だったのか。
あのぽややんとした笑顔を思い出し、昂平は、なんとなく気が重くなった。
なんかスゲーめんどくさい。
もう関わるのは止めておこう。
他人に悪口を言われるぐらいは全然気にもならない。
そもそも、この世の中で、嫌いになられることを恐れるのはたった一人だけだ。
そのたった一人は、彼が想いを遂げることさえ諦めていれば、永遠に昂平を嫌いになったりしないだろう。
血の繋がった家族なのだから。
だから、誰にどんな目で見られようとも、昂平には全然ダメージがない。
だけど。
これ以上、あのちょっとどこかヌケてる准教授と関わると、絶対にめんどくさいことになる。
例の昼休みの一件だけで、こうなのだから。
そう、思っていたのだけれども。
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