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「ありがとうございました~!」
さっと、買い物袋を抱えた学ランを着た中学生位の男の子が店から出てきた。女の子向けのファンシーショップだからか、少年は気恥ずかそうにしている。
そのまま誰とも知り合いに会わずに急いで家に帰りたかったが、どうやらクラスメイトと遭遇してしまったようだ。
「涼くん」
「あ、聖架…」
涼と呼ばれた黒髪の、少年。学ランを着ていなければ、美少女とも間違えてしまいそうな程だが、涼は少し居心地が悪そうにした。
「涼くん、買い物?これからどこに行くの?」
聖架と呼ばれた、茶髪の少年はこちらも学ランを着ている。カメラを片手に写真を撮っていたようだ。
「家に帰るんだ。聖架こそ、また写真?」
「うん。もうハロウィンの時期だから。街がわくわくしてるよ」
「そう……じゃあ、俺もう行くから」
バイバイ、と涼はその場を後にした。
「バイバイ、涼くん。また明日ね…」
聖架は少し寂しそうに、涼の名を呼んだ。そしてシャッターを切った。
「また増えちゃったな」
聖架は、もうここには用はないとばかりに、その場から離れた。
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