SECHS1短編ーハロウィンは大変だー。

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「型紙。これでいい?」 涼はレッチェがすでにハトロン紙に引いていた型紙を取り上げた。 「ああ。ちょっと待ってくれよ、今微調整するから…」 素早く線を引き直し、再び涼の手に戻ってきた。 「涼ちゃん、それハサミで切って」 「うん」 涼は、ゆっくりハサミを進めていった。間違えないように、慎重に。 しばらく作業の音だけが響いた。 涼は、なんとか切り終えた型紙をこんどは布へと合わせてみた。 こんな感じかな?という風に。 「涼ちゃん、上手いじゃん」 「そ、そう?」 貸して、とレッチェは涼から優しく取り上げた。 「いい感じ」 レッチェの言葉に、涼も安心した。 「もうすぐだね」 「ん?そうだな」 「楽しみだな」 涼はにこにこ笑っている。 そんな涼を見て、レッチェはもう少し頑張るかと意気込んだ。 夕食を食べ終え、レディアは戸締まりをして少し早いが眠りにつき、紅はリビングで邪魔にならないように、クロと遊んでいる。 レッチェと涼は衣装作りだ。 「涼ちゃん、今日どうすんの?」 「俺、今日は泊まっていくよ。明日また学校行くときに、帰るね」 「そっか」 レッチェは、少し手を休めた。 「涼ちゃん、学校どうよ?」 「え?別に。普通だよ」 「そっか~」 レッチェはそれだけ聞いて後ろに仰向けになった。 チクタクチクタク。 時計の音がする。 にゃあにゃあと、クロが紅にじゃれる声がする。 「レッチェ」 「ん?」 「…何でもない」 「何だよ」 涼は時計を見た。 時計は12時を回っていた。 「あ。紅」 「何?涼ちゃん」 「もう寝なくちゃダメだよ」 「え~」 「え~じゃないよ」 「涼ちゃん、紅を寝かせてやれよ」 「ほら、行くよ」 「ん~クロ~行くよ~」 少し眠そうに、紅は涼に連れられて、クロと部屋へと戻っていった。 リビングへと戻ってきた、涼はレッチェの隣に座った。 「涼ちゃんさあ」 「何?」 「明日もガッコでしょ?もう寝てくれば?」 「でも」 「俺はいいの。もう仕上げるし」 「………わかった。おやすみ」 「おう。おやすみ」 レッチェは涼の背中を見送った。 「楽しみ……か。本当に仕上げないとな」 レッチェはひたすらに、取り組んだ。
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