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「明かりだ」
「もう着いた?」
「わあ~」
紅は走り出した。
「紅、転ぶなよ」
オリビアが声を掛ける。
「大丈夫~!」
サイフォンの街はきらびやかに輝いていた。
あちこちの店や、住宅にまでキラキラとした明かりが灯り、入り口にはパンプキンが置いてある。可愛いくまの人形や、この地方で人気のキャラクター、ユーギー人形まで。
「え、ハロウィンってこんな感じだったっけ?」
レッチェは、ちょっと違うんじゃ…と。
でも紅や涼、レディアは楽しそうだ。
サイフォンの街の子供達もやってきて、広場に集まった。
「よーし、みんな~!これから、お菓子を貰いに行くよ~!」
わああい!と喜ぶ、紅と子供達の姿を遠目に、オリビアとテオル。
「俺達はこの辺りに居るから、行ってこい」
「うん!」
そう、涼とレディアを送りだした。レッチェも後から付いていく。
「Trick or Treat!お菓子をくれなきゃいたずらするぞ」
「いたずらするぞ~」
「はいはい、みんな並びなさい」
子供達の嬉しそうな声。
タービットの酒場も賑やかだ。
「だっはっはっ!SECHSの連中が来てから、この街も賑やかになったもんだ!」
「ジンさん飲み過ぎんなよ!」
そう言った気前のよさそうな男もガブガブと酒を飲んだ。
「トリックオアトリート…」
「あら、レッチェくん!」
「よう」
「ふふ、今日は大人しのね。それに衣装、凄く似合ってるわよ」
レッチェの髪をひと撫でして、お菓子を持ってきていたお姉さんは、この街のお掃除お姉さん、レニーさんだ。茶色の髪を一つにまとめ、いつもこの街を綺麗にしてくれている。
「レッチェ!」
「涼ちゃん」
「こんばんはレニーさん。ここにいたんだ、探したよ」
「わりい」
「ふふ、涼くんも。はい、どうぞ」
「ありがとう!」
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