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「行くよ」 カクに頷いて返した。バンッと勢い良く開けた扉。開いた音で誰かが出て来る気配は無い。ゆっくりと中に入って行くカクの後ろを守った。 「気配は無し。探索に入る」 「分かった。辺りは確保しておく」 「任せた」 私は辺りを確保する。その間にカクが中を探索するのがいつもだった。だから今回も同じようにしていた。 静寂の中、カクが物を漁る音だけが聴こえた。だけどその静かな時間を壊す物音が聞こえた。 ガタンと音が鳴った。音の鳴った方を見た瞬間だった。私は何かに押し倒された。それはカクでは無い。 化け物だ。 「クソッ」 押し倒された勢いで手にしていた長物を放り出してしまった。急いでホルスターにしまってある銃を取り出そうとする。 「アイちゃん!」 カクの声が聞こえて、その後には銃声が響いた。化け物はぐったりと私の方に倒れて来る。それを横に退けて、壁に凭れて座り、息を吐いた。 「……大丈夫?」 「ええ。ありがと、助かった」 カクの手を借りて立ち上がる。自分のライフルを拾い上げた。 「何か良いものはあった?」 「特に無かった」 「そっか。じゃあ、次行こうか」 そう言って、部屋を出ようとすると手首を掴まれた。 「ごめん。俺の不注意で」 「別にカクだけの不注意じゃないよ。それに結果として何にも無かったんだし、大丈夫だよ。ほら、早く調べて皆に合流しよ」 謝るカクを何とか言いくるめて、部屋を後にした。何にも無かった、か。平然と嘘を吐いた自分が許せなかった。
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